ショートレポート:日本の生産性

 「日本の生産性は低い」と言われることが多い。その際の「生産性」とは何であろうか? 生産性とは「あるモノをつくるにあたって、生産諸要素がどれだけ効果的に使われたか」を示すものであり、労働の視点から見た労働生産性、資本の視点から見た資本生産性、投入した生産要素すべてに対してどれくらい産出されたかを示す全要素生産性がある。生産するモノの物量を単位とするのが物的生産性、新しく生み出された付加価値を単位とするのが付加価値生産性である。
 
 最も一般的な指標が労働生産性である。日本生産性本部の「労働生産性の国際比較」では、 就業者1人当たりGDP、就業者1人当たりGDP上昇率、時間当たりGDP、時間当たりGDP上昇率などの国際比較が紹介されている。一方、労働、資本、原材料などのすべての生産要素に労働生産性を測定する際の労働と同じ役割を持たせたものが、全要素生産性である。中期的に見ると日本の全要素生産性は1%をやや下回る程度である。全要素生産性は「広義の技術進歩率」と言われる一方で、「単なる残差」という悩ましい側面も有しており、指標としての扱いは難しい。
 

 
 生産性のうちもっとも広範な概念であるはずの全要素生産性は、ヒトやモノは捉えていてもカネの観点は欠落しており、そのことは非効率な経済運営をもたらすリスクを孕む。日本の場合、8,500兆円の金融資産が550兆円の名目GDPを産み出すと考えると、金融資産に対する生産性は6.4%と計算される。この生産性は長期的に低下傾向にある。金融資産増加率と名目GDP増加率の間に明確な関係は見いだせず、金融資産が有効に使われているかという点でも疑問が残る。

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