テクノロジーの活用事例 ~排泄ケア支援センサー①~

排泄は、個人の尊厳と密接な関係にある行為です。なので、どの介護現場でも できるだけ本人にトイレで排泄してもらうことを目指しているのではないでしょうか。

 

今回は、そんな三大介助の一つである排泄ケアを支援する機器についてお話します。

個々の利用者への最適な排泄ケアの提供は非常に重要ですが、介護現場においてはそれを阻害する要因がいくつか考えられます。

 

一つ目は介護職員の業務量です。

施設介護では、業務や人員配置の関係上、時間を決め打ちにしたケアになってしまうことが多くあります。個別のアセスメントに基づいて排泄ケアのタイミングを決めていたとしても、他の利用者の状況によって排泄ケアの時刻が計画よりも遅くなることもあります。

二つ目は、真の排泄タイミングの把握の難しさです。

排泄のタイミングは利用者ごとに様々ですが、一般的には排泄介助を行った時刻が排泄のタイミングとして記録されます。おむつ交換の場合、前回の交換との間のどのタイミングで排泄が行われていたかの把握はまず不可能です。また、利用者によっては排泄障害によって一定間隔で排尿できない方もいらっしゃいます。

このような理由から、利用者ごとの最適な排泄ケアの実現はかなり難しく、利用者の状況に関わらず、排泄ケアを定期的なタイミングで行わざるを得ないという施設は少なくありません。

 

 これらの課題に対する解決策となりえるのが、トリプル・ダブリュー・ジャパン(株)の「DFree」(ディー・フリー)です。DFreeは、下腹部に装着した超音波センサーで膀胱の大きさを測定するデバイスで、膀胱が大きくなれば尿がたまり、小さくなれば排尿されたとみなすことで、排尿のタイミングを測定できます。

上述した通り、排泄の個別ケアを困難にしていた大きな理由の一つは、真の排泄タイミングの把握の難しさにありますが、DFreeを装着させれば、24時間のモニタリングが可能になります。モニタリングを2週間程度行えば、正確な排尿のリズムをつかむことができ、排尿ケアの最適なタイミングの検討につなげられます。

 

また、排尿障害を持つ方に対しても、膀胱内の尿量をもとに排尿の予測や排尿時の通知などをすることにより、できるだけ快適に過ごしていただくための工夫をすることができるようになります。

これまで、排泄ケアの個別化の進めるためには、利用者の細かい挙動や表情などを観察して読み解き、適切に声掛けするという、ベテラン介護職員の経験と勘に頼らざるを得ませんでした。DFreeを使うことにより、排尿に直結するデータを定量的に把握でき、利用者ごとに膀胱のサイズの値を設定して、その値を超えたら通知することが可能です。このやり方なら、新人職員であっても最適なタイミングでの介入が可能になります。

 

排尿リズムを把握することができたことで日中おむつを付けずに済むようになることや、また介護をする側が無駄な排泄介助をなくし、その時間をほかのケアやコミュニケーションに充てることができるなどの効果が期待できます。適切なテクノロジー活用により、サービス品質の向上と業務負担軽減を実現することができるのです。

つづく

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