「道具」を変えたら業務も変える①

 「これまで導入してきた中で、一番使えると思った介護ロボットや機器は何ですか?」

 

 施設の見学に来られた方からこのような質問をよくいただきます。

 新しい技術を導入することで、サービス品質の向上やオペレーションの効率化を目指すという考えに間違いはありません。ただし、介護ロボットはあくまで「道具」であり、何らかの目的達成の手段にすぎないため、効果の高いロボットというのは施設によって異なることが多くあります。

 そのため、まずは現場でどういった問題が起きており、課題がどこにあるのかを洗い出し、その課題を解決するための機器を探すといった手順が求められるでしょう。

 私たちは、現場のオペレーションが「利用者因子」「職員因子」「施設環境因子」の3つから成り立っていると考えます。

 介護ロボットの導入を含めて業務改善の検討では、利用者へのサービス提供上の課題など利用者因子に目がいきがちですが、職員のスキルやモチベーションといった職員因子、施設内の導線や器具・設備といった施設環境因子の視点からも、課題を洗い出すよう心がけることがポイントです。

 

 例えば、私たちの施設では、夜間に2ユニットを1人で見守り・巡回をしていますが、調査すると職員が1日最大15kmも歩いているということがわかりました。それは、通路が広く、2ユニットの端同士の部屋が離れているという私たちの施設の特徴があったためです。そこで、広い通路であることを活かして夜間巡回にセグウェイを導入し、身体的負担の軽減を図りました。

 

 課題を洗い出し、それに対して適切な機器を選択し適切な活用をする。こうした発想が、介護ロボットをはじめとした新しい技術の効果的な導入につながります。

 機器導入の意義を検討する際には、バランススコアカード(BSC※)を活用することで、法人・施設のビジョンの達成という視点から、具体的な目標の設定や行動計画を導きやすくなります。

※BSCは「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習・成長」の4つの視点で企業のビジョンや戦略を分類して共有する手法として良く使われており、今後は医療・介護分野においても活用が期待されます。

 

つづく

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